代表者 | 社会福祉法人 同胞会 こひつじ園 石川 敦子 |
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所在地 | 宇治市小倉町堀池94-1 |
連絡先 | 0774-20-1295 |
kohituji@outlook.jp | |
HPアドレス | |
活動内容 | 運動・身体活動 / 歯の健康 / 健康行動 / 栄養・食生活 / 食育に関すること |
業 態 | 教育機関 |
【団体紹介】
空は高く、11月にしては暖かい日でした。宇治市民間保育連盟の杉本一久会長の話を伺いに、「みんなのき黄檗こども園」を訪れました。屋上には刈り取られた稲がハザがけして干してあります。園庭では子どもたちが歓声をあげて思い思いに遊んでいます。稲を守るようにしてビニール袋や段ボール紙で作ったが黒い物体がぶら下がっています。「子どもたちが作ったカラスよけなんですよ」。出迎えてくださった田中みゆき園長が説明してくれました。
宇治市民間保育連盟は、宇治市内の民間の保育園と幼保連携型認定こども園、19園で組織されている団体です。
私のような年齢(64)のものにとって、乳幼児施設は馴染みが薄い存在です。内閣府のホームページによると、「認定こども園とは、教育・保育を一体的に行う施設で、いわば幼稚園と保育所の両方の良さを併せ持っている施設です。保護者が働いている・いないにかかわらず利用可能」と記されています。宇治市民間保育連盟では急速な少子化や家庭や地域を取り巻く社会構造の変化に対応するため、行政の指導の下、民間の保育園と認定こども園が連携・協力しながら総合的に各地域の子育て支援を行っています。
国は食育推進基本計画で、乳幼児期から発達過程に応じて豊かな食の体験を重ねていくことが、「食を営む力」を培うことになるとしています。それは生涯の健康や生き生きした生活の基礎となるとして、その重要性を義務付けています。
子どもたちは日々の生活のなかで、さまざまな体験を通して心と身体を成長させていきます。「食べる」ことについても、毎日の食事から食べ方やマナーを学び、自然の素晴らしさや季節を感じ、感謝の気持ちを養います。「食を営む力」とは、栄養的なことでだけでなく、そうした豊かな食体験を重ねることを言います。それぞれの施設では、その指針に沿って工夫を凝らした取り組みを行っています。
「みんなのき黄檗こども園」でも、子どもたちは食事に陶器の茶碗や木のお箸を使って日本文化や習慣に触れ、お米や野菜を育てることで食べ物が食卓に並ぶまでのプロセスを知り命の大切さを学んでいます。
「知ることは感じることの半分も重要じゃない」との名言で有名なのはレイチェル・カーソンの著書『センス・オブ・ワンダー』。その中に次のような一節があります。「妖精の力に頼らないで、生まれつきそなわっている子どもの『センス・オブ・ワンダー』をいつも新鮮にたもちつづけるためには、わたしたちが住んでいる世界のよろこび、感激、神秘などを子どもといっしょに再発見し、感動を分かち合ってくれる大人が、すくなくともひとり、そばにいる必要があります」。
壁一面に貼られた保育教諭さんによる様々なマインドマップ(思考・発想法の一つ。頭の中で起こっていることを目に見えるようにした思考ツールのこと)を見て、ここには、そんな大人たちがたくさんいることを感じました。
【活動紹介】
保育園の保護者らを対象とした「適塩講演会」が1月18日、宇治市兎道の「みんなのき三室戸こども園」で開かれました。園児の保護者を中心に約50人が参加し、京都岡本記念病院の劉和幸先生の講演に熱心に耳を傾けました。
この講演会は、2019年8月に開催された宇治市健康づくり食育アライアンスの第1回市民会議がきっかけで実現した企画。ワークショップで劉先生と宇治市民間保育連盟の田中みゆき先生が同じグループになり、保育園での適塩講演会を実施するアイデアが出たといいます。
講演会は「子どもから高齢者まですべての世代に伝えたい塩分の取り方」というサブタイトルで開催。同月11日には「みんなの木黄檗こども園」でも開かれており、今回で2回目です。
劉先生は、日本人は腎臓が比較的小さく腎臓病のリスクが高いことや塩分を取りすぎていることなどを説明した後、宇治市を中心とする山城北地域が、京都府内で一番塩分摂取量が多いという調査結果を紹介。「塩分の取りすぎは高圧や胃がん、尿路結石、心疾患などさまざまな病気の原因となりうる」と警鐘を鳴らしました。
また、子どもの頃の塩分の取りすぎが将来の大きな疾患につながる場合もあるとして、「園児の保護者の世代が一家の食習慣を決める場合が多く、影響力は大きい。適塩の生活習慣をお年寄りたち上の世代、子どもたち下の世代に伝えてほしい」と呼びかけました。
同園はこの日は参観日。これまでも勉強会や講演会などを開催してきたといいますが、専門の医師を呼んだ講演会は初めて。田中先生は「アライアンスがきっかけでいい機会を与えてもらいました。保護者のみなさんも普段と同じ雰囲気で、肩に力を入れずに講演を聞いてもらえたと思います。今後もバージョンアップをさせていければ」と笑顔。
宇治市民間保育園連盟の会長で、みんなのき三室戸こども園の杉本一久園長は「園としても、給食のメニューを考えるなどいろいろ食育に工夫していますが、言葉で園児に伝えるのはなかなか難しい。専門のドクターから保護者の方にお話をいただけるのは、とても有意義な機会です。他の園でも希望があれば、こういう機会を広げていきたいですね」と話していました。
【2020年度インタビュー】
―――今年度、どのような活動をされていますか?
杉本一久さん:新型コロナウイルス感染拡大防止のため、zoomで月1回宇治市の保育支援課さんと一緒に園長会を行っています。現在19カ園が加盟しており、各園でのコロナ対策や催しで工夫していること等の情報共有や意見交換を行いました。通常ならば1回実施する事業を、人数制限をして複数回に分けての実施や、ライブ配信をする等、各園が工夫をされています。
小学校へのアプローチカリキュラムの一環として園を越えて子ども同士の交流をあたためる「園児大会(合同運動会)」や「遊びの広場」は今年度できませんでした。それでも、園毎に年長さんの良き思い出作りとして趣向を凝らした取組を行ってきました。
―――来年度されたい取組等は何ですか?
杉本さん:動画配信や非対面型懇談会・研修などコロナ禍で培ってきた各園のノウハウや経験を活かし合い相互サポートの仕組みや行事の企画をしていきたいです。
―――来年度の健康づくり・食育アライアンスで取り組みたいことや、期待することは何ですか?
田中みゆきさん:今年度のアライアンスでは、小学生対象の親子参加の体験講座「うーちゃ学校」が開催されました。この「うーちゃ学校」の乳幼児対象の親子参加講座があれば、連盟としてリソースもあるのでより参画しやすいと思います。